内覧会タイムスケジュール
- 5月9日 13:00~13:40
- 沼部幸博先生(歯周病科) タイトル「歯周予防で健康寿命アップ!~全身の健康はお口から~」
- 5月10日 13:00~13:40
- 小林隆太郎先生(口腔外科)タイトル「色でわかるお口の中の病気~白・赤・黒~」
- 5月9日/5月10日 14:30~15:10
- 富家孝先生 タイトル「間違いだらけの医者選び」
講座内容
「 歯周病予防で健康寿命アップ!」- 全身の健康はお口の中から –
日本歯科大学 生命歯学部 歯周病学講座 沼部幸博
健康寿命とは、健康で支障なく日常生活を送ることができる期間を言います。少し前の2010年(平成22年)の厚生労働省の発表では、日本人の平均寿命が男性79.55歳、女性86.30歳であるのに対し、健康寿命は男性70.42歳、女性73.62歳と、男性は9.13年、女性は12.68年、平均寿命より短いことが解りました。すなわち、私達にはそれだけ、この世を去る前に不健康な期間があることを示しています。当然、私達はこの不健康期間をなるべく減らしたい訳なのですが、実はそのキーワードがお口の健康、歯の健康維持にあることが解ってきました。
この長い人生の間に私たちが大切な歯を失う原因のほとんどが、う蝕(むし歯)または歯周病によるもので、一昨年前の報告では、80歳の方で維持されている歯の数は約14本。大人の歯は親知らずを除くと28本ですので、歳を重ねるごとに、約半数の歯がこれらの病気に狙われるのです。
現在の日本では、40歳以上の約8割が歯周病にかかっていることがわかっています。さらに最近では、歯周病になると心臓病や肺炎、脳卒中、がんなどの命に関わる病気にかかりやすくなったり、糖尿病が治りにくかったり、早産や低体重児出産の確率が高くなるという、もはや口の中の問題ではすまされない深刻な事実も知られるようになりました。日本人の死亡原因の上位4位までの病気が、歯周病と関係しているのです。
これらのことから、歯周病をきちんと治すこと、歯周病にならないように予防することは、お口の中の健康だけでなく、全身の健康を、そして命を守ることにつながると考えられます。
「歯周病をしっかりなおそう。かからないように予防しよう。そうして健康寿命をアップ!」これは私達のとても大切な目標です。
本講演では、歯周病の原因は何か?、歯周病の予防法は?、日々の生活習慣をどのようにすべきか?そして歯周病と全身の病気とはどのように関係するのか?などについてお話します。
色でわかるお口の中の病気 – 白・赤・黒 –
日本歯科大学附属病院口腔外科 小林隆太郎
ご存知ですか、口の中にも「がん」ができること。
病気に対する基本的な考え方、特に「がん」に対しては早期発見・早期治療が大切です。
消化器系の検査は通常、内視鏡などの機器を用いて間接的に行われますが、口の中の検査は特別な機器も使わず直接目で確認をして、触ることもできるという、実はとっても確実で簡便な方法なのです。
私たち歯科医師が、患者さんに接し、口腔内で最初にみるのは「病変の色」であり、「形」です。目に飛び込んでくるものが診断の第一歩であるのです。
そこで、口の中にできる病気について、「口内炎」から「がん」まで、分かりやすいように色で分けて説明したいと思います。
皆さんにはあまり聞き慣れない病気かもしれませんが、口腔外科に受診される方の、口腔粘膜疾患に関わる代表的のものについて色別に挙げてみました。
- 白: アフタ、白板症、口腔扁平苔癬、口腔カンジダ症
- 赤: 紅板症、舌炎
- 黒: 色素沈着症、黒子、黒色腫、黒毛舌
一見、難しそうな病気ですが、色で分けて見ると比較的理解しやすいと思います。病気を探し当てるのではありません、色の異常をみつけるだけです。まずは発見です。
では、口の中にできるさまざまな病気について確認していきましょう。
また、病気の説明を通じて、歯科医療の基本的な内容、そして今後についてもお話できれば幸いです。
講師プロフィール
沼部 幸博 (1958年5月30日生)
平成27年4月1日現在
現職
日本歯科大学 生命歯学部 歯周病学講座 主任教授
学歴
- 1977年4月
- 日本歯科大学歯学部入学
- 日本歯科大学歯学部卒業 (72回)
- 日本歯科大学大学院入学(歯周病学専攻)
- 日本歯科大学大学院修了(歯学博士)
1983年3月
1983年4月
1987年3月
職歴
- 1987年4月
- 日本歯科大学歯学部歯周病学教室 助手
- 1989年4月
- 日本歯科大学歯学部歯周病学教室 専任講師
- 1989年9月
- カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)歯学部 歯周病科 客員講師
- 1991年4月
- 日本歯科大学歯学部附属歯科専門学校歯科技工士科 講師 (併任)
- 1992年4月
- 東京都歯科医師会 疑義解釈苦情処理委員会常任委員(2005年3月まで)
- 1993年4月
- 日本歯科大学歯学部歯周病学教室 助教授
- 1996年6月
- 東京都社会保険診療報酬支払基金 歯科審査委員 (3期:2001年5月まで)
- 2001年4月
- 日本歯科大学歯学部歯周病学講座 助教授 (所属名変更)
- 2003年4月
- 日本歯科大学生命歯学部 学生部副部長(併任)
- 2004年4月
- 日本歯科大学生命歯学部 教務部副部長(併任)(2007年3月まで)
- 2005年6月
- 日本歯科大学歯学部歯周病学講座 主任教授
- 2006年4月
- 日本歯科大学生命歯学部歯周病学講座 主任教授(所属名変更)(現在まで)
- 2006年4月
- 徳島大学歯学部 非常勤講師(1年間)
- 2007年1月
- 岡山大学歯学部 非常勤講師(1年間)
- 2007年4月
- 日本歯科大学生命歯学部 学生部長(併任)(2012年3月まで)
- 2008年4月
- 新潟大学歯学部 非常勤講師(1年間)
- 2012年4月
- 日本歯科大学生命歯学部 教務部長(併任:現在まで)
- 2013年4月
- 学校法人 日本歯科大学 理事(現在まで)
- 2014年4月
- 広島大学歯学部 非常勤講師(1年間)
学会活動など
- 日本歯周病学会専門医(指導医) 日本歯周病学会常任理事
- 日本歯周病学会 歯科衛生士関連委員会委員長
- 日本歯科保存学会専門医(指導医)日本歯科保存学会理事
- 日本レーザー歯学会専門医 日本レーザー歯学会評議員
- その他
受賞
- 第6回国際歯周病学会(IAP)Sunstar Award, First Prize (1997年)
- 第1回日本歯周病学会会誌賞(2003年)
- 第5回日本歯周病学会会誌賞 (2008年)
- 招待講演 タイ マヒドン大学 (2000年) 台湾 中山医学大学(2007年)
主な著書
- 歯周病診断のストラテジー, 医歯薬出版, 1999
- 歯周病をなおそう,砂書房, 日本語版 2000,韓国語版 2001
- かかりつけ歯科医対応,主訴・症状別病態写真シート,クインテッセンス出版, 2002
- 喫煙とお口の健康,クインテッセンス出版, 2002
- 絵で見る歯医者さん,クインテッセンス出版,2004
- ペリオ・カリエスの予防に活かす抗菌薬・殺菌薬とフッ化物, 医歯薬出版, 2005
- 新・命をねらう歯周病,砂書房, 日本語版2007
- 新・歯周病をなおそう(第2版),砂書房,日本語版 2008,韓国語版 2011
- 絵で見る予防歯科,クインテッセンス出版, 2008
- 新人歯科衛生士のためのペリオドンタルインスツルメンテーション,クインテッセンス出版, 2008
- 歯科衛生士のためのペリオドンタルメディシン 医歯薬出版 2009
- ザ・ペリオドントロジー, 永末書店 2009
- 歯周病学サイドリーダー, 学建書院 2010
- 歯科衛生士のための臨床インプラント講座. 医歯薬出版 2011
- 禁煙とお口の健康. クインテッセンス出版, 2012
- 歯科臨床イヤーノート 2014? クインテッセンス出版, 2013
- ザ・ペリオドントロジー(第2版),永末書店 20014
- 天然歯のための審美形成外科(監訳)クインテッセンス出版, 2014
- 歯周病を治すSRP, できる歯科衛生士のスキルと知識, 医歯薬出版 2014
- 他多数
マス・メディアでの活動
- 今日の健康 (NHK Eテレ 2012年6月4,5,6,7日)
- ここが聞きたい 名医にQ (NHK Eテレ 2012年6月2,9日)
- ゆうどきネットワーク (NHK 2012年11月29日)
- モーニングバード アカデミヨシズミ (テレビ朝日 2015年1月26日)
- 他
研究課題
- 歯周病の遺伝子診断
- 唾液または歯肉溝滲出液からの歯周病診断
- 喫煙と歯周病との関係
- 歯周治療を困難にする要素の分析とその対応に関する研究
- 次世代の歯周組織再生療法に関する研究
- レーザーおよびLED利用による歯周治療
- 以上
小林隆太郎
現職
日本歯科大学口腔外科 教授
日本歯科大学附属病院医療管理室 室長
職歴
- 昭和59年3月
- 日本歯科大学歯学部 卒業(73回)
- 昭和59年3月
- 日本歯科大学歯学部口腔外科学教室第2講座 助手
- 平成3年4月
- 日本歯科大学歯学部口腔外科学教室第2講座 講師
- 平成13年1月
- 日本歯科大学歯学部附属病院顎変形症診療センター長
- 平成15年4月
- 日本歯科大学歯学部附属病院口腔外科 助教授
- 平成21年4月
- 日本歯科大学歯学部附属病院医療管理室 室長併任
- 平成22年4月
- 日本歯科大学口腔外科 教授
表彰関連
- 平成24年10月
- 厚生労働大臣表彰
- 平成22年
- 日本歯科大学第1回ベストレクチャー賞受賞
- 平成23年
- 日本歯科大学第2回ベストレクチャー賞受賞
- 平成24年
- 日本歯科大学第3回ベストレクチャー賞受賞
- 平成25年
- (連続3回ベストレクチャー賞受賞により)日本歯科大学第1回ベストティーチャー賞受賞