理事長の麻生田でございます。
この度熊本地震で被災された皆様には心よりお見舞い申し上げます。
今日は、歯科医療の立場から被災地のご高齢の方と、そのご家族の方、そして乳幼児の保護者の皆さまにひとつご提案させて頂こうと存じます。
今から21年前の阪神淡路大震災の際に、避難所において歯ブラシ・歯磨き等の口腔清掃用具の支給が行き渡らなかったため、のちに多くのご高齢の被災者の方々が肺炎でお亡くなりになってしまいました。
被災地の現場では食料と水の確保が最優先であることは当然ではありますが、これは「2~3日歯を磨かなくてもむし歯にはならない」という話ではありません。
お口の中に常在する肺炎の原因菌は口腔清掃を行わない場合、あっという間に増殖してしまいます。
また、避難所で支給される食料は高齢者向けの軟性食の準備は非常に少なく、このことが誤嚥を引き起こしやすくする大きな要因となっています。
また、避難所という日常生活から大きくかけ離れた環境への急激な変化により、高齢者や乳幼児の抵抗力は大きくダウンしてしまいます。
避難生活の際に発症した誤嚥性肺炎によって体調を崩し、震災前はたいへん元気だったご老人が、被災から1年後に亡くなってしまったケースもありました。
被災地では飲料水の確保さえままならない状況もあろうかと存じますが、どうか口腔衛生にもご留意頂きます様お願い致します。
最後になってしまいましたが、被災された地域の一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。
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